せん‐さく
ほんのりと、残る余韻がたまりません。
永嶋さんの本は、読み終わってから微かな余韻が合って、それがじんわりと広がっているから楽しいのだと思います。
読み終わってから、すごい楽しかった。の一言で終わらせてしまう話より、こういう方が好きかも知れない。だからといって、あさのあつこの楽しかった!といえるものが嫌いでもないし、小野不由美を読みきった楽しさとも違う、この人はこの人なりの楽しさがあって幸せな気持ちです。
今回の主人公は、29歳の専業主婦。オンラインゲームにハマる主婦で、オフ会でやっと顔を知った中学生との逃走劇。
遼介が無駄に可愛かったような気がしますが、あれは本当になんだったのだろう。結局自分で全てを背負い込んで、逃げて逃げて、彼にはちゃんと未来が見えたのだろうか。あの激しい衝動を、きちんと消化できたのだろうか。
ただただ、幸せになって欲しい。遼介は特に。
典子が幸せになれそうなのはわかったし、「うげ太」はなんだかんだで一歩踏み出せた感じです。
最後の最後まで遼介のエピローグが無かったのが惜しい。いや、ないからこそ、これほどまでに彼が幸せになれば良い、と願えるわけですが。
てゆーか、ラストのあのどんでん返し!よもや、あそこで、ああやってくれるとは思ってなかったからびっくり。うぅん…負けた。
次は「転落」か「うそうそ」 「さよなら妖精」が文庫化されてるってはじめてしった。