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  • 2010.12.14 Tuesday
女が書く、女の愛はホラーだと思う。そう思いながら、本を閉じたのです。
たぶん、この小説を読んで、そんな感想を抱いたのはわたしだけなんじゃないかと思う。着眼点がちょっとずれているのは、自覚もしているし、周知の事実でもあると思うので潔くスルー。

この感想から『ノルウェイの森』の消化不良を思い出したので、一緒にダラダラ行ってみようと思う。
書くことと、喋ることは思考をまとめるのにとても良いツールだと感じている。めみみはなくち、ごくろうさん。


ノルウェイの謳い文句は『純愛』と『深く愛すること』の二つだと思っている。小説を読みながら、それを感じ取ることは出来なかったのだけれども、村上春樹の文章が読みやすく書かれているのだけはわかった。大衆受けする本とは、こういうものだという良い手本である。
さて、この小説中の純愛とはなんだろうか。
『光』の中では、信之の美花に対する思いは純愛に相当すると言っても良いと思う。妄執的に愛し、それだけしか見えないままに愛することを純愛と呼ぶのならば、それは間違いなくそうなのだろう。
けれど、それが純愛?『光』の中で信之は誰かを心の底から愛していたのだろうか。
信之は、自分の中にあった美花という女神像を崇拝していたのではなかろうか。絶対的な人のために、ただ身を捧げるためだけに生きていたのではないだろうか。それこそが、彼に取っての生きる希望であったから。
身を捧げることが、彼に取っての愛だったように思える。
これが純愛だろうか?

ノルウェイの主人公の愛も同様ではなかったろうか。今はなき恋人を心の中に留め置いて、自らも留まってしまった美しい人を、『美しい』と崇拝していただけではなかろうか。
彼は、彼女を愛していたのだろうか。大事な人を失ったという、共通の傷を持ち、進んでいった自分と、留まることで大事な人を手放さなかった彼女の愛に、彼は心を奪われただけではないのだろうか。
愛のために自らを壊す人を、彼は深く深く、愛しいと感じていたのではないのだろうか。

光の南海子が信之の秘密を握って、幸せな家庭ごっこを続けるように。
自らの信ずる愛にただ殉じていこうとする人の間近で見ながら、生殺与奪の自由を手に、守ってあげるという優越の愛。
その心が抱える傷までもを愛してあげる、そう囁いて真綿で首を絞めるように。


女が書く、女の愛はホラー。
心の傷も、体の傷も、全て愛してる。あなたが持って帰ってくるお金も、一緒に作る家庭も、子供も、それを愛するわたしを愛してる。
それを壊そうとするものは全て敵。そう描かれる愛はホラー。
男性から見た女の愛は、これほどホラーにはならないのに。見ている世界が違うのだと痛感しますね。

わたし、箱根駅伝が好きなんですよ。
それはそれは小さい頃から、正月は箱根駅伝なんですよ。わたしの携帯には箱根駅伝の速報メルマガが届くように設定してあるんですよ。
すみません、外出していたら、ワンセグが起動しっぱなしなんです。
サッカーファンとか、野球ファンと同じレベルで箱根駅伝が好きなんです。
応援している特定の大学はないんだけれども、ただ好きなんです。しょうもないんですね。
箱根駅伝のない正月は、わたしにとってはないも同じで、なんだか上手く一年が始まったような気がしないのです。

そんなわたしに、箱根駅伝の青春小説かつ三浦しをんとか、人参を目の前にぶら下げられた馬です。先輩がもっているというものだから、即座に借りてきました。先輩、神です…!
うっきうきしながら読みました。読み終えたのは11月の中ごろだったかと思います。もう、箱根駅伝まで2ヶ月近くあるのに、テンションが上がって仕方がありませんでした。
実際に、素質があるからとはいえ、素人が箱根を一年で目指せるかと言われたら、無理なんだろうなぁ…と思います。だって、彼らのあの走りを毎年見ているけれども、わたしたちの全速力よりももっと速い速度で60分以上も走り続けているのですよ?
応援しに行くたび、あの人たちはわたしたちと同じ人間なのかなぁ…と思います。
こんな寒空の下、あんな薄着でも汗をかいて走る人たちなのです、それに追いつくのに、どれだけの人がどれだけの期間練習を重ねているかと思うとね。

まあ、それを無視するのが小説です。
走っている最中の個人の独白がすごく好きです。ジョータと神童とユキの独白がお気に入りです。
ジョータは走りながら双子の弟であるジョータについて思い、今までずっと一緒だった同じ遺伝子の別人との別れを感じている。同じときに生まれ、同じ道を歩んできても、もう同じではいられない決定的な違いが露見した兄弟の、兄の思いがヒシヒシと伝わってきてキュン!とします。
ここの襷リレーが『ハナちゃん、俺たちのこと好きかも!』『ええっ!うそー!』で、さらにお気に入りです。
ジョータの独白を無駄にするような、お気楽発言が(笑)

神童は独白というか、その手前というか、ユキとの絡みをひっくるめて好きです。
あのツンデレふたりは、すごく可愛いのです。愛しい、と思います。男の友情を感じました。ここら辺はうらやましい。
ユキの走の世界を垣間見る過程も、その結果、自分は遠く及ばない世界がある痛感するそのくだりも、わたしはすごくすごく好きです。
箱根駅伝を通じて、彼らはそのとき、ただ、無心に己を省みて、他者を愛しく思っているのです。

そして、思うのです。
何か熱中できるものがあるっていいな、そのとき、きっと何も見えなくなった中に、大切なものだけ見えるんだろうと思います。
今のわたしの大切なものはなんだろうかと、ふと思ってしまいました。

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