わたし、箱根駅伝が好きなんですよ。
それはそれは小さい頃から、正月は箱根駅伝なんですよ。わたしの携帯には箱根駅伝の速報メルマガが届くように設定してあるんですよ。
すみません、外出していたら、ワンセグが起動しっぱなしなんです。
サッカーファンとか、野球ファンと同じレベルで箱根駅伝が好きなんです。
応援している特定の大学はないんだけれども、ただ好きなんです。しょうもないんですね。
箱根駅伝のない正月は、わたしにとってはないも同じで、なんだか上手く一年が始まったような気がしないのです。
そんなわたしに、箱根駅伝の青春小説かつ三浦しをんとか、人参を目の前にぶら下げられた馬です。先輩がもっているというものだから、即座に借りてきました。先輩、神です…!
うっきうきしながら読みました。読み終えたのは11月の中ごろだったかと思います。もう、箱根駅伝まで2ヶ月近くあるのに、テンションが上がって仕方がありませんでした。
実際に、素質があるからとはいえ、素人が箱根を一年で目指せるかと言われたら、無理なんだろうなぁ…と思います。だって、彼らのあの走りを毎年見ているけれども、わたしたちの全速力よりももっと速い速度で60分以上も走り続けているのですよ?
応援しに行くたび、あの人たちはわたしたちと同じ人間なのかなぁ…と思います。
こんな寒空の下、あんな薄着でも汗をかいて走る人たちなのです、それに追いつくのに、どれだけの人がどれだけの期間練習を重ねているかと思うとね。
まあ、それを無視するのが小説です。
走っている最中の個人の独白がすごく好きです。ジョータと神童とユキの独白がお気に入りです。
ジョータは走りながら双子の弟であるジョータについて思い、今までずっと一緒だった同じ遺伝子の別人との別れを感じている。同じときに生まれ、同じ道を歩んできても、もう同じではいられない決定的な違いが露見した兄弟の、兄の思いがヒシヒシと伝わってきてキュン!とします。
ここの襷リレーが『ハナちゃん、俺たちのこと好きかも!』『ええっ!うそー!』で、さらにお気に入りです。
ジョータの独白を無駄にするような、お気楽発言が(笑)
神童は独白というか、その手前というか、ユキとの絡みをひっくるめて好きです。
あのツンデレふたりは、すごく可愛いのです。愛しい、と思います。男の友情を感じました。ここら辺はうらやましい。
ユキの走の世界を垣間見る過程も、その結果、自分は遠く及ばない世界がある痛感するそのくだりも、わたしはすごくすごく好きです。
箱根駅伝を通じて、彼らはそのとき、ただ、無心に己を省みて、他者を愛しく思っているのです。
そして、思うのです。
何か熱中できるものがあるっていいな、そのとき、きっと何も見えなくなった中に、大切なものだけ見えるんだろうと思います。
今のわたしの大切なものはなんだろうかと、ふと思ってしまいました。