湊かなえといえば、前クールの夜行観覧車が楽しくてね、読みましたよ、夜行観覧車じゃないんですけどね(笑)
他には、告白しか読んだことがありませんが、なんとなく永嶋恵美を思い出します。
推理小説のようで、実は人間模様といった具合が似ているんだと思います。
境遇、まあタイトルは読んで字のごとく、境遇。
人の生まれてから、こんな境遇だから、この人はこうなったのよ。そんなことに重きが置かれた作品です。
主人公2人は、どちらも親がおらず、孤児院出身。片方は、乳幼児期に里親に引き取られ、実の娘として育てられる。
もう一人は、孤児院が預かれる限界年齢までそこで育ち、独立。
そんな二人は、ふとしたきっかけで出会い、親友となる。生まれの同じ二人。
同じ境遇だから、仲良くなれたのかしら?どうなのかしら?
同じ境遇だから、分かち合えることもある。けれど、同じ境遇でも人生は別。
親友だから、相手にとても深い友愛の情を持っている。同時に、果てない羨望と妬みがある。
別に、親友ではなくてもそんなことはいくらでもあるでしょう。
わたしだって、友人知人の幸せな姿は嬉しいし、それを分かち合ってくれたらもっと嬉しい。相手が喜ぶ姿を見て、わたしもとても幸せな気分になる。
その裏に、すべてが壊れてしまえば良いと思う、後ろ暗い思いが生まれないわけじゃない。
そういう人間の機微が描かれた作品。
推理小説のようで、そうではないので、物足りない人もいるんでしょうね。
推理小説の起承転結、解決方法が同じで物足りなさを感じるより、こっちのほうがわたしは好きです。